一晩考えても私に良い案は浮かばなかった。
そもそも私はいけないと思いつつ、なんだかんだでJhonと園子にけっこう協力していたのだ。
Jhonも園子の大切な友達ということで私にすごいよくしてくれて、
ご飯を奢ってくれたり英語の課題をやってくれたり。
今更いきなり敵になることなんてできない。。。
どうしよう。
日本にいるならまあまだ若いんだし、こんな関係もあってもいいかな、、って思うけど
親と縁を切るような形で海外へいくというのはどうしても止めなきゃいけないって思った。
恋を応援するのは簡単なことなのに、いけない恋を止めさせることがこれほどムズカシイことだったとは。。。

当時、松嶋菜々子とタッキーの「魔女の条件」というドラマが流行っていた。
というか私はそのドラマが好きで見ていた。
主題歌が宇多田の「First Love」だった。
教師松嶋菜々子が教え子タッキーとの恋を貫くという話。
親の反対がある禁断の恋というのが園子の恋と似ていたし、親近感を感じたみたいで園子もこのドラマははまってるらしかった。
このドラマをずっと見ていた人には分かると思うが、観覧車事件というのがあった。
これは松嶋とタッキーが二人で遊園地の観覧車に乗っていて、
その間に松嶋の親友役の西田尚美がタッキーの母(黒木瞳)を連れてきて
観覧車を降りた二人を直撃みたいなドキドキシーンだった。
これとよく似たシーンが園子の関空事件だ。

6月頃だっただろうか、園子はJhonと旅立つ準備を着々と始めていた。
旅行会社に度々足を運び少しでも安い航空券を探したりの毎日だった。
私も相談されたり、暇な時は一緒に旅行会社に行ってあげたりもした。
だけど神様はこの二人を簡単に海外逃亡なんてさせなかった。
ちゃんと園子を引き止める鎖を用意していたのだ。。。

入学以来園子は大学を休みまくっていたし必須項目の授業も登録してなかったので
大学からそれを伝える葉書が送られたのだ。
こういう葉書はうちの大学の場合、まず親元に送られることになっていた。
これを見た園子の親は仰天したに違いない。
そして脳裏に浮かぶ顔はただ一人。
あの男だ。
まだ娘と続いていたのか。。。
信じていた我が子に裏切られる親の気持ち、絶望感はきっと計りしれない。
ここで園子の親がとった行動は、焦る気持ちが先走るのは当然のことなのだがあまり賢いものではなかった。

まず、園子の親はこの信じられない事実が本当なのかを確かめるため園子に電話してしまったのだ。
真実を確かめたい時、電話はとても無意味なものである。
抜き打ちで出向いて確かめるのが一番確実で賢い方法だ。
でも園子の親は車で片道3時間というわざわざ出向くには少し遠い場所に住んでいた。
この片道3時間という微妙な距離がこの事件を複雑で難易なものにしてしまった。
この電話で園子たちは海外逃亡の時間稼ぎができることになったのだ。
私が大学に行ってないことが、Jhonとまだ続いていることが親にばれてしまった。
親が逆上している。
明日の朝にでもこっちにやってくる。
そうしたらもうJhonとは一緒にいられなくなる。
園子は短い時間で色んなことを考えたのだろう。
そして園子は荷物をまとめ、Jhonを連れて夜逃げ同然でアパートを出た。
ここから園子とJhonの逃亡劇が幕を開けた。。。

(つづく)

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